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一之瀬姉弟の日常

第3章 お馬鹿な双子の一日

「まさに鏡合わせだな」

「鏡合わせといえば双子だね」

「双子といえば、合体だ!」

「合体で双子といえば、キャッキャウフフ」

 沙羅はニヤニヤしながら妄想にふける。

「沙羅姉はどこぞの少女漫画の読みすぎなんじゃ!」

「あーあ、そんなこと言ったら怒る人がいるよー」


「あー眠たい眠たい言いながら、小説書いてるリア充爆発しろなあの子ね。キラッ」

「そうそー」

 沙羅と優也は顔を見合わせて頷き合う。

「ねーところで、お金貸してよ」

「……最初に戻った。もういいよ、沙羅姉に何を言っても無駄だって分かったから」

「うわ、ラッキー。さんきゅ! 優也、大好き!!」

 優也をお気に入りの人形みたいに抱きしめる沙羅。優也は溜め息を一つ。

「バイトをして、稼いだところで姉に取られる俺はいったい……」

 優也はポツリと呟いた。今日の一之瀬姉弟も愉快で平和である。




End

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