
委員長はエッチでした
第11章 友達との一線を越えて
電車の中で
二人一緒に座るスペースがなくて
子供連れのお母さんや
年輩の人を
気にして
二人で並んで立っていた。
「彩香さん、座っていいのに……」
1つだけ開いてる席に
あたしだけ
座らせようとしてくれる。
笑いながら
首を振って
亮と一緒に
並んで立っていた。
亮は優しい
回りの人を気にして
座れそうな時があっても
離れた場所で
立っている人に
席を譲るように
自分はさりげなく
遠ざかる。
そこで声をかけれないのが
亮なんだな……
黙って亮について行き
離れた場所で
立っているおばあさんを
気にして
ちらちら見ている。
あのおばあさん
席が開いてるの
気付かないのかな?
背骨が曲がって
小さなおばあさん
荷物を持って
電車に揺られて
下ばかり見てるから
気付かないみたい。
危なっかしい足取り
はらはらした表情の亮
声をかけたいのに
かけれない亮。
見かねたあたしは
おばあさんの背中を
軽く叩いて
空いた席を
指さした。
嬉しそうに
笑うおばあさん。
頭を下げられて
笑いながら
ちゃんと座るのを
見届ける。
……こんな優しい気持ちになれるのは
亮と一緒だから。
今までのあたしは
きっと
真っ先に席に座って
ケータイをいじってたよ。
回りの事なんて
気付かない
目の前に
お年寄りがいれば
流石に気付くけど
そんなに回りの事なんか
気にしないもの。
亮は繊細に
回りの事を細かく見ている。
色んな細かい事を気にして
でも
話が出来なくて……
でも
そんなふうじゃ
疲れないのかなぁ?
大雑把なあたしから見れば
亮は細かいし
くよくよしてて
じめじめしている
小さな事でも
気にして
何も言わないけど
亮の目に
写る風景1つ1つに
色々考えているのかな?
……もっと知りたい
同じモノを見て
亮が
どんな風に感じて
どう思うのか
全部知りたいって
思うのは
おかしいかな?
「……彩香さん、なに笑ってるの?」
いつの間にか
笑ってたみたい
亮に言われて
気付いた。
やっぱり
大好きだな
亮の顔を見ると
まともに目が合う。
赤くなる表情
恥ずかしそうに
唇をきゅっと閉じて
目を反らすのに
それから何度も
視線が合う。
