
二人で一人
第52章 蓮と夢
『えっ!?はじめて!?』
優がコクンッと頷く
『すてられるまえとか、のってないの!?』
今思えば、なんてヒドイことを優に聞いたんだろう。
「うん…。おそとなんてでたことなかった…」
『えぇ!?じゃあ、ずっとどこにいたんだ?』
「おうちだよ。ずっとおべんきょーしてたの」
『まじで!?ずっと?』
向かい合った新幹線の座席。
俺は身を乗り出して優に詰め寄った
「うん…」
優が暗い顔をする。
けど、急に明るくなって笑顔で言った
「だから…、あたしすっごくうれしいっ!おそとにでれてうれしいっ!!」
「おへやのなかは暗かったから…、
ホンモノのおひさまも、くもも、かぜもれんたちとあうまでしらなかった…」
全部が始めて…
優にとって外は神聖な場所だったんだろうな…
