TIME is MONEY
第2章 scene Ⅱ
珍しく俺が雅紀を頼ったのが余程嬉しかったのか
雅紀が翔の前に移動して
「翔ちゃん、かず離して」
困ったように、笑いながら翔を見た
無理に引き離そうとしないのは、こいつらの力関係ゆえなのか
単に思いつかないのかは分からない
「どうしよっかなー」
翔は相変わらず背中を嫌な手付きで撫でているけど
「翔ちゃん、離してあげなよ」
一緒にニヤニヤしてた筈の大野さんが一言言っただけで
「しょうがねぇな」
あっさりと翔が撫でていた手を止めて、そこを押した
背中を押された事で少し前のめりになった時
雅紀が腕を取って俺を立ち上がらせた
ぐらつく体を支えてもらい、一言文句を言おうとして……
「なぁ、雅紀…俺かなり酔っ払ったのかな」
「え、なんで?」
目の焦点は確かにはっきりはしてないけど
頭ん中もぐるぐるしてるけど
…今まで幻覚まではなかったような?
「だってさ…翔と大野さん……」
翔の膝の上に跨がって
向かい合って……
「うん、チューしてるね」
幻覚じゃないんだ
しかも驚かないんだ
「誕生日の締めはいつもあれだよ」
このまま酔い潰れていいかな、俺………
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