テキストサイズ

Best name ~ 追憶 ~

第5章 あの人に…お似合いの女の子

腰を曲げて(?)

(おじいちゃんじゃあるまいし
それは違うかな)

腰を落として…大きな体で
目一杯、屈んで

リョウキは私の高さに…

ぺしゃんこの私の目線に合わせて

歩いていた




『ちょっと…リョウキぃ…』


『〃大は小を兼ねる〃…ってか?(笑)』




リョウキはイタズラに
ニカッと笑う



ドキドキ…ドキドキ



『な、によ・・・それ』


『ふふ…アイルがすねるからだ
仕方ないだろ(笑)』





本当は…わかっていたの


わざとオチャラけて
気まずくならないように

笑って流せるように
してくれていたこと…


もっと言えば…大人の対応



彼は…やさしくて


私より・・・ずっと大人





謝るなり…素直に・・・甘えるなり

すれば良かった





『ゎ…わかったから…もぉ、いいってば』



『ふふっ…』




彼は軽く笑って流し

元の姿勢に戻っていった






ポンポンポン・・・




いつものように
その大きな手で

笑って流すように
私の頭を撫でてくれる彼



私は…こうしてもらうのが
大好きだった




・・・のに








『~~・・・子ども扱いしないでよ…っ』





輪をかけて…余計なことを

可愛くないことをしてしまった






『ヘイヘイ…悪かったね…(笑)』



『・・・』




気持ちに余裕を持って…

やさしく…大人の対応する彼







『~オシャレも楽しいけどな?

ケガだけはしないようにな・・・』





『・・・』




元はと言えば…誰のせいよね私ってば

恥ずかしい…本当に恥ずかしい



子ども扱いするな?

子どもみたいなことばっかして
無理もないじゃない



ごめんね・・・リョウキ

心配してくれたのに





『リョウキ・・・ごめん』


『(笑)…~♪帰るぞアイル』



やっと一言謝って
私は…彼に手を引かれて歩く



当たり前みたいに
私のゆっくりな歩幅に合わせて
隣を歩くリョウキと…





ペタペタペタ・・・




コツコツと言う…好きなハイヒールの音ではない



だけど・・・彼の選んで来てくれた

伸縮素材のその靴は

そのまま走れる程…やさしく柔らかい




本音を言えば…歩くのが

とっても楽だった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ