
Best name ~ 追憶 ~
第5章 あの人に…お似合いの女の子
ニョキ・・・っ
『えっ・・・?』
鈍くさくドジなことをして
彼に余計な足労や気遣いさせて
更には一方的に八つ当たりまでする
そんな…可愛げもなにもない私
呆れて物も言えない…或いは
さすがに
彼を怒らせてしまったかな
更にぺしゃんこになって
黙って歩き出す私の横に
目の前に・・・突然
リョウキの・・・顔が
ニョキっと現れる
『な・・・に?・・・』
私は必然的に動揺した
怒ってる?・・・嫌われた?・・・
並んで歩く時に
この高さで目が合うことはない
その目の前ある顔に…
ドキッ・・・
『ぁ・・・~~』
ドキン…ドキン…
私の心臓は大きく波打ち始めた
だって・・・
キリっとした眉
少し切れ長な目
(実は瞳は結構クリッとしてる
大きな目だけれど…)
長いマツゲ
筋のしっかりした鼻
キュっと結ばれた…大人っぽい唇
〃男の子・・・男の人のくせに
無駄に整って・・・〃
なんて…
悪態ついてごまかしたくなるような
ドキッとしてしまう
その顔が…私の目線に並んでいた
私は…いつだって
悔しいくらいにドキドキしちゃうんだから
『な…なによ・・・リョウキ』
早く謝ってしまえばよいものを…
私は動揺を隠して
声が裏返りそうになりながら対抗した
『ふふっ・・・』
そして次に
目の前のその顔が
クシャっと表情を崩して笑った
いつものリョウキの
目尻にシワをつくって・・・
表情豊かに…笑う顔
『こうすれば首痛くならないだろ?(笑)』
『っ・・・、ぇ』
『〃無駄に〃デカイからな?
縮んでみるのも悪くないぜ?(笑)』
『・・・』
絶句・・・
湧いてくるのは
恥ずかしさと罪悪感
まるで子どもだね・・・私
