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密猟界

第7章 美しき獣たち

…「チャンミン」肩に手を置かれる─「ユノ」モップを手にしたチャンミンが立っていた。
 「酔ったの─、醒めました?」床の破片を掃き集めながら、訊ねる。
「…うん。水飲んでくる」皿の白いかけらに、ユノはちらりと目をやった。
 「僕が割ったんです。その音でユノは起きたんでしょう」かけらを、モップでひとまとめにしながら、チャンミンは云う。
「あぁ。…そうみたいだ」
 アイボリーのカウンターをまわり、「夢みたよ、お前の夢…」ガラスのコップの中身を飲み干し、「─お前が、教会のなかに走って」「ユノ、その先云わないで」チャンミンが遮る。「…そうか。うん」濡れた唇をぬぐった。
 「嫌な夢─みたか」頷くチャンミンに「いいよ、忘れた、悪い夢だった」ユノは笑顔をみせた。
 「ともかくここは」コップを置き、「妙なことが多すぎる」モップを片付けたチャンミンに、「出よう、帰ろう」「出口が─」「うん?」「さっき、ユノが酔い潰れてるときに、行ってみたら…」「どうした」「ハリケーンでそうなったか、わからないですけど─洞穴、砂で埋まってます」「…出られない?」「無理ですね」キチネットのドアをユノは見る。

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