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密猟界

第2章 雨の外へ…

「せっかくだけどユノ。僕は掃除してます、昨日からこの教会…、自由に使わせてもらって…少しでも、片付けしたいし、そのほうが、ユノ。…ゆっくり、ひとりで礼拝できるんじゃないですか─」 暴風雨が、近いらしい…窓がガタガタ震える─。「そう…。ひとりでのミサ…さみしいんだけど─な」「静かで良いでしょう」教会の外壁、ナイフを薙ぎ払うに、似た風音がした。



 高めな壁の十字架が見下ろす…礼拝堂のなか、中央の席で、ユノはひとり、祈りを捧げている。 「主よ…主なる父よ、…。神様─昨日、わたし、私たちの─、この…聖なる場での、…あらわなさまをどうか…、どうぞわたくしたち二人─お許し…」──ガー…ガガァ…と祈りの言葉より、大きな騒音が、礼拝堂の脇の廊下から、ひっきりなしに聞こえてくる。
 「私たちの神、父なる全能の主…」騒音が止み、今度はガタガタと重い音が、しはじめる。「─…神よ。わたしチョン・ユノは」また、止んでいた、ガァガァ…と古代竜が鉤爪で岩盤でも、引っ掻く音がはじまった。

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