
Best name
第31章 君の手と僕の手
『何℃…?…計って…くれたんでしょ?』
チラリとオレを見上げるアイルに体温計を見せる
『・・・なんだ。大丈夫』
体温計をみたアイルがケロリと言う
『ぃゃ・・・お前』
『私、結構…熱高めなの
すぐ・・・熱上がるから
これくらいならホント…大したことない』
マジかよ・・・
『…疲れが・・・出たんだな…』
・・・ゴメンな。
『ううん。そうじゃないよ
…毎日楽しかったから』
布団をかぶりながら
アイルがかすかに笑う。
『え…』
『コーフンしすぎ・・・
はしゃぎすきてたのかも、フフ…』
『アイル…』
『ふふ…ヤダ…私。子どもみたい
すぐ…よくなるから。ホント大丈夫だよ…?』
オレを心配させまいと
必死に笑ってるようにさえ見えるアイル
『……~』
『ごめんね?仕事だったでしょう?
疲れてる所・・・わざわざ…ごめん』
『……』
『リョウキ…?』
オレは黙って再びコートを羽織る
『ちょっと…出てくるな?』
『?…〃帰る〃…でなくて?』
『……』
黙って支度する。
『リョウキ・・・
明日仕事でしょ?…私なら大丈・・・』
『いーから…!……寝てろ!!』
『りょ…』
『・・・だまって…ゆーこと聞け』
オレはそう言うと部屋を出て
足早に街に出た
『コンビニじゃ・・・
ロクなモン揃わねーしな』
量販店に走って必要なモノをそろえる
スポーツドリンクやら冷えピタ……
そして・・・
『良かった・・・あった』
耳で計れる体温計。
アイルの部屋にあったヤツだと・・・
少々都合がワルイ……(泣)
