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第30章 それぞれの、生きる場所…

『よし、次サーブ。
少しずつ高さ出して…打ってみろ』



『はい・・・・っ!!』




貸し切り状態の体育館に

オレと先輩の声……そして



打ち込むボールの音が

鳴り響く……。






いい・・・・・・・・音だ。









『うん…重さがあっていいぞ!

~今のフルか・・・?』




『~・・・6割

ってトコですかね…ハァ…ハァ』





『本当か?…お前

パワーはちっともおちてないな!?』




『そう…ですか?

~もう一本…お願いします』




『よし、来い!』






ダイチ先輩は攻守共に優れた
いわゆるオールラウンダーだったが…

とくにその守備力はピカイチで

それは変わらず

オレの打ち込むボールを
ことごとくキレイに返球する。



磨きつづけてきた技術…さすがだ。



『柔軟性おちてないな!いいぞリョウキ!』




すっかりトレーナーそのものな先輩の
トレーニングに必死についていく。





『次レシーブ!いくぞ~!?』






ズッシリ・・・



コントロールが良くて重みのあるサーブに

オレは簡単に

見事に弾かれる。






『かまえ遅い!もう一本!』




『はいっ!』









〃いっってぇ~~・・・(苦笑)〃





オレの腕は

あっという間に腫れ上がっていた。





そして練習を終えるころには

身体中バキバキでヘトヘトだったけど…。





『俺が思ったより

全然やれそうだなリョウキ?』





『え…』





『来てくれて嬉しい。

…改めて、よろしくな!』







全身が悲鳴をあげながらも…





全身全霊で・・・喜んでいた。






嬉しかった。






この場に来られたこと……




そして何より




先輩が喜んでくれていることが……。

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