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Best name

第30章 それぞれの、生きる場所…

『ダイちゃん、車の鍵かして?』


『ん~?』



少ししてチヅルさんが席を立つ。





『~昼間っから飲んで~…
運転できないでしょもぉ?…
あたしチビ迎えにいくから』




『あ~…ワルイな。…うん』





『~~後輩つかまえて
デートのジャマするなんてまったく~……。

リョウキ?・・・アイルちゃんも
ごめんなさいね。

この人が無理言っちゃって…』






母であり・・・

妻の貫禄をみせるチヅル先輩。





学生の頃とはまた違う

素敵な姿だとオレは思った。




『チヅルさん
そんなんじゃないですから!ホント』


『また…今度
ゆっくりできたらうれしいです・・・』




ようやく落ち着いてきたアイルも口を開いた。




『ふふっ…でも今日は嬉しかったよ!
~タキガワくん…元気そうで安心したし。
ホント・・・・・よかった』




『チヅルさん・・・』





ずっと部を…オレたち部員を

支え続けてくれたマネだったこの先輩が



怪我に加え
突然引退したオレを

本当に心配してくれていたのは
オレも知っていたから…。





『アイルちゃん…。うん♪!
次はゆっくりごはんでも食べよう!
二人とも今日はアリガト!またねっ!』





チヅルさんが荷物を抱えて
早足で去っていった。











『ふふ・・・なんかイイっすね、センパイ』





『~ハハ・・・アイツには

苦労ばっかかけちまったけどな…』





ダイチ先輩は卒業後
実業団に入り

その手腕で
メキメキとチームを牽引していた。




そしてマネだったチヅルさんと…



2人が付き合っていたのは


〃公然の秘密〃・・・と言うか







みんな・・・オレも知っていて






人気者だったチヅルさんと…言わば

ビックカップルの誕生に

泣いた部員も少なくなかった。







当時は…オレもその一人だったり?(笑)





なんてな。





まだ初々しかった

オレの青春の1ページに

しまわれてるエピソードだ。



(笑)

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