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第26章 海を翔けて

『…なんとかならんかって…
なんぼ助けてやりたくても…

せめてそばにいたくても
ポンコツな身体は動かんくて

コイツのために何も…
何一つできんかった

悔しいて…許せんくて

アイルを傷つけた外道も…

助けたらへんかった
コイツの親も…

ホンマにしばき倒したろーて
そればっかで…

ほんでも時間は戻せんし…
待ってくれへんから

…そん時から・・・ここから
オレのしてやれる事
探さなアカン・・・てな』




『それでカウンセラーに…』


〃アイルのために

アイルの心を救うために〃





『単純やろ?(笑)
まぁ…思うように動かれんかったし

消去法かもな
…アホみたいやろ♪』



『いや・・・ちっとも』


〃むしろ、逆だ〃




オレはこの日もう一人知った


もう一人いたアイルの家族…


アイルを心から大切に思って
守ろうとしてきた人…。



『…ホンマは…オレが恐かってん

オレの知らない…
傷ついて暗い顔したアイルと

顔合わすの恐かって

帰国しても…会いに来んかった

しょーもないな。口だけやなオレは…

ソウ兄んトコに引き取られて
仕事もしてるって聞いて…

安心しとったのもあったけどな…』



『・・・』


『あっ…すまんすまん!
シケた話した!

ワルイな、初対面やのに…
ホラ・・・飲んで、飲んで』


カイトがオレのグラスに酒を注ぐ


さっき…

アイルが

カイトと対面した時の姿を思い出した



〃『元気…?』〃

と、涙ながらに聞いたアイルの言葉は


改めて思うと
すごく重みのある言葉だったのだと思えた


確かめるように聞いてみた


『身体…今は大丈夫なんだよな…?』



『…大丈夫やなかったら
こんな急に現れたりせんて~!

…にしてもオレの努力も
いらん苦労やったワケや~♪』




『え?』





『ホッとしてる…ホンマに
恐かってんけど…アイルは元気やし

ま、オレからしたら
チビガキの頃とたいして変わらんけどな!

顔もガキみたいやし?(笑)
ヒヨっ子やけど…

~まぁ…それなりに大人になって
何より、立ち直ってくれてんのやなって

せやから、今日コイツの姿みて…
ようやく肩の荷っちゅーか

罪悪感が薄れた気ぃしたんや…』





『・・・イイ兄貴だな』


オレは素でそう答えていた

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