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第23章 やさしさで溢れるように

『いやっ!…それ以上近づかないでっ!』


女の子にとって…
これ程恐ろしい光景はないだろう




ごめんな・・・アイル



だけどオレは…


オレにはないんだ

勇気がないんだ

アイルみたいな…強さがないんだ




『こないで!…こないでってば…!』


後ずさりしたアイルは
立ち上がることもままならなず
ソファにぶつかり
オレに向かって必死に
クッションや物を投げてくる

構わずにアイルに近づいて
覆い被さろうとしたオレを
アイルが蹴飛ばす

『いやっ!!』

逃れて立ち上がり
アイルはキッチンの方へ走る

後を追うオレにテーブルの上の物を
ぶつけるように散乱させ
ひたすらバリケードを作るアイル

アイルの必死のバリケードを
ことごとくかわして
オレはアイルに手を伸ばした

『いやっ…やめてっ…はなしてぇっ!』

アイルを捕まえて壁に押し付けると
アイルは自由になる手で
ひたすらオレに平手打ちしたり
手を振り回して逃れようとする

『ハァっ…ハァ…っ何…してるかわかってるの!?』
『……』

『…ハァ…人…呼ぶよっ…?』
『そうしてくれ…』

『警察…呼ぶよっ…?』
『…その方がいいかも…』

『~~っ…』
『早く…しろよ。でないとオレ…お前に…』

誰かに止めて欲しいと思う気持ちが半分…
自制心がきかない
効かせたくない気持ちが半分

『バカなこと…
言ってないでよっ…何でこんなっ…』

オレから逃れて反対方向
再びドアの方へ走ろうとしたアイルの
腕を引っ張った

『っっ!!や…っ』

そのまま、もみくちゃになる

アイルがトイレや浴室…カギのかかる場所へ
逃げ込もうとするのを阻止して

抵抗するアイルを壁にぶつけたり
クローゼットに押し付けたりしながら
奥まで引きずった

『っっリョウキっ!!
もう…やめ…て
っ…リョウキぃっ…!』

奥へ奥へとアイルを追いやり
部屋の一番奥…ベッドの前まで追いやった

『リョウキ…っ、ハァ…ハァ…お願…
もう……やめ…て…』

泣き出しそうなアイルに構わず
両手を掴んだままアイルを突き飛ばした

『ぅ…っ…んっ!!』

ドサッと
アイルの身体がベッドに投げ出されて
少し跳ね上がった

すぐにガバッと起き上がったアイルが
シリモチついたような体勢のまま後退する


もう…後がないところまで

追いつめられて

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