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第21章 明日への手紙

『まぁ~…アレだ

そりゃぁな?どこかしら
〃空元気〃してるだろうがな?

別に何かおかしなことになったり
体調が悪いなんてのはない

心配・・・ない。

なんだかんだでアイツも成長した
…ちゃんと前を向いて生きていける

リョウキ…お前と逢ってからも
アイルはつよくなった、そう思う』




『そう……ですか』






アイルは…前を向いて

踏み出している…。



オレと違って・・・もう






『だから…アレだ、リョウキ…?

お前のその…アイツに対しての
後ろめたさや

拭いきれないモンも…あるだろうけどな?』






『・・・。?』





『もう・・・
〃どうにもならないこと〃ならな…

…アイツのことは~…もう
そっとしておいてやれよ…?』





『……』





『アイルの事は…
そっとしておいてやってくれ

お前が、いつまでもいつまでも…
気に病むことも…ない

そんなことはアイツもきっと
望まないだろうからな?

アイルの事はそっとしておいてやってくれ…。

それが今のお前に…お前が最後にできる
…唯一の〃やさしさ〃なんじゃないか?

・・・わかるな?…リョウキ?』




『………はい』




酒の減らないグラスの氷が溶けて
カランと音を立てる


オレとソウタさんの間に沈黙が続いた





ゴクゴクっと

ソウタさんが一気にグラスをあけた



そして
沈黙を破るように
いつもの口調になって言う



『~それともアレかリョウキ~♪!?』


『…は…』




『いっそ、拐っちまったらどうだ!?
アイツを~もう強引になっ!

言うこと聞かせてな♪
ハハハハハ~!!!』



『ソウタさん・・・』




それが叶ったら…オレは
もう他に何も望まないだろうな…


そして同時に…この人に
アイルとのことを

そして、オレ自身のことを
本当に本当にあたたかく受け入れて
見守ってもらっていたのだということを

今更ながらじゃないが痛感する。



経験したことのない胸の痛み…

心が…ギュウギュウと音がするほど痛い

痛くてたまらない


オレはソウタさんに向き直った



『ソウタさん…オレが
オレなんかの言うことじゃないことも…

オレに…そんな資格がないことも
重々承知ですが…』


『~?…』

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