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第21章 明日への手紙

『リョウキか…』




意外にも
ソウタさんは応答してくれて
更には会ってくれると言う


腰が重いことに変わりはないが…
オレはすぐに出掛けた



ソウタさんとよく行った居酒屋




コツン…




グラスをかるくぶつけて乾杯する




『~…すまなかったなリョウキ…

この間は…お前から何も聞かずに…』




『いえ…当然ですから…』




少し治りの遅い
オレの口元の傷をみて
ソウタさんが言った





酒は…全く進まない

ソウタさんも




オレは…重い口を開いて
事のあらましを
ソウタさんに話した





『そう・・・だったか…ぁ~…』




フゥ……と、ソウタさんから
深いため息がもれる





『…想像を超えた

緊急事態だったナァそりゃ…』



『……』




何も言えないオレに

ソウタさんは、もう何も…
オレを咎めることもなく

オレの話をだまって
聞いてくれた


『全部・・・オレの

不甲斐なさの招いたことです』



『まぁ…でも…
やりようによっちゃぁ…だぞ?

その~…相手次第だけどな
お前が…子供を認知して…だとかな…』





ソウタさんが
わずかにでも希望を探すかのように
色んな事を言ってくれる






『と、まぁ~…そんな方法は
いくらでもあるかもしれん…

そりゃ…どんだけ
どんなにパニックに陥ってても

アイルにも…わかっただろうよ?…』




『はい…。・・・ですけど』







『わかってる…。わかってるさ…
あのアイルの性格だ。出来ないだろう…

お前に言ったことも…本心そのまま…
アイルが…アイツなりに
覚悟をもって言ったことだろうよ

お前にも…わかってるだろうがな…』




『…はい』






そうだ。

アイルは…人に不誠実なことや
中途半端なことなんかしない


自分の決めたこと…言ったことはブレずに
曲げずに…正しい事を貫き通す子だ





『アイル…は』

『ん、あぁ…大丈夫だ…。~』



察したように
ソウタさんがオレを遮って話す



あの後アイルはソウタさんに

〃オレと別れた〃

とだけ話し

ソウタさんも
アイルが言わない以上
言及しなかったそうだ


自分は大丈夫
気持ちを入れかえて頑張る。


と、言って毎日仕事に来ていると言う

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