テキストサイズ

Best name

第2章 ピュアな世界

『…タキガワ クン?』
そっぽ向いてたアイがこちらをみた

そうだ
アイはオレの名前さえ知らない

オレも…"アイ"という通称しか
彼女の事を知らない
近しい人にもアイと呼ばれているし…
まったくの偽名ではなさそうだが

『~なんだァ?アイお前お友達の名前も
知らずに付き合ってるのか?!ハハハハハ~!』
『……』

ムッとして、また横を向くアイ
オレはサイフから名刺を出して
アイとソウタさん双方に差し出した
軽い感じで挨拶して

『改めてまして…』
『おぉっと、これはご丁寧にどうも!』

ソウタさんも慌てて名刺を出してくれた

院長:葛城 爽太

名は体を表す…
中々…体を表す名前かもな
アイに目をやるとオレの名刺に目を落として
じっとみていた
ん?と言う顔でオレも彼女を覗き込んだ

『タキガワ…ヨシキ?』
小声で読み上げた
『ハズレ。…リョウキ』

『良希くんか!アイとは
どこで知り合ったんだァ~?』

ガンガン突っ込んでくるなぁー…この人(笑)

『ええ…と』
答えようとするとギロっと視線が来る
アイに、少々鋭く睨まれている

ありのまま言うのはマズイみたいだ

『えぇ…自分の仕事で行った先に
彼女がいらして、それでたまたま~…』

…こんなんでイイか?あやしいだろうか
取りわけ睨まれてはない

『ほぉ~…。リョウキくんは今いくつ?』
『自分 28です』
『若っいなぁ~!!』

ソウタさんは42歳だそう
年齢よりかなり若く見える
何かとやり手なこの人にも興味が湧いていた

全く話に入る気のないアイに話をふるソウタさん

『そういやアイはいくつんなったんだァ?20…』
『…今年、2』

成人は…してたか
何故かホッとするオレ

『22かぁ~!デカくなったなぁ
オレも年取るワケだァ!』

よく喋るオッサンを介して
アイの情報が入ってくる
そのドサクサで突っ込んでみた

『…若いのにしっかりしてるね。
アイちゃん…?て…本名?』

少し…空気が止まった
言い方不自然だったか
ソウタさんが口を開く

『そう言えば"アイ"で通り過ぎてて
もはや何も思わないなぁ~!』

やはり"通称"あるいはニックネームか
アイはムスっとしてそっぽ向く
ソウタさんが話を反らそうとする

ナマエって、そんなに隠したいモンか?
よほどヘンテコなのか…
それとも…?

ガリガリガリっ…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ