テキストサイズ

Best name

第11章 明日への勇気

先程の姿をこれっぽっちも感じさせず
激しくアイルを巻き込んで笑わせるマナさん…
すごいな、この人

おかげでアイルは笑っていた
そして…オレも




『それじゃ、また明日くるからな?』

『…私、大丈夫だよ
リョウキ仕事でしょう?』



『終わったら来るから
良い子に寝てろよ?』

『~~!』


夕刻、オレも病院を後にする


そうだ
アイルは証言をしなければならないのだ

嫌なことや辛いことを聞かれ
言いたくないことを言わなければならないのだ
アイルの体調次第ですぐにでも始まる

胸がギュッと締め付けられるが、オレは
〃逃げない〃と決めたアイルに…
アイルを信じて見守ることにしたんだ

翌日、オレが仕事に行っている間に
アイルへの聞き取りは行われた

アイルは気丈に…全て話したそうだ

何をどう言ったかオレにはわからないが
頑張ったアイルを、まず心から労いたいと思う

現行犯であり、証拠もこれだけあり
間違いなく起訴されるだろう
あの男がそれを否認しなければ

裁判になってもアイルが出廷したり
人前で辛い証言をするようなことには
ならないのだそうだ

まぁ…あんな状況で、いくら狂ったヤツでも
しらばっくれられないだろう


数日経って、良い知らせが入った

犯人であるあの男から自供がとれて
全面的に認めていると言う

当然だ!と言いたいが
内心不安もあったオレは
やっと少し胸を撫で下ろす

ソウタさんが知り合いの弁護士を立ててくれていた為、後のことは任せられるようになっていた


そして…報告のような物が上がってくる

調書ってヤツのコピーとかなのか
わからないが
調査の内容をまとめたもののような書面

アイルに血の繋がった…肉親は
いないも同然な為
身元引受人になっているソウタさんに
その報告が上がってきて
それをソウタさんがオレに渡してくれた

…見るのが 恐かった

アイルの受けた仕打ちが
書かれているであろうものだ

ズラリ…と無機質に並ぶ文字

被害者A子…アイルのことだ

どこからどこがアイルの
ヤツの証言したことかは不明


書かれていたのは無論、ひどい、ひどい内容だ
直視出来ずにその場で破り捨てそうになる

何度も深呼吸をし直して目をおとす
…オレが、逃げるのは 違うよな

覚悟して見ても
アイルの受けたひどい仕打ちに
胸がえぐられた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ