
Kissからはじめよう SO & AN
第71章 Hero5 和也
確かに まーくんが柵を乗り越えて虎の檻に近づいた時
俺はまーくんが喰われちゃうと思って
生きた心地がしなかった
けど、ホントは虎とまーくんの間に
身を挺して入り込むような勇気があったワケじゃない
俺は それこそ必死になって柵に攀じ登り
まーくんを引っ張り上げようと
身を乗り出して両手を伸ばした
「まーくん、つかまって!」
だけど パニックになってるまーくんには
俺の声は届かず
切羽詰まった俺がどんどん上半身を乗り出していくうちに
バランスを崩して 柵の中に落っこちたんだ
