
Kissからはじめよう SO & AN
第62章 愛を叫べ!12 智
12-2
今日は しょーくんがお気に入りの小料理屋さんに連れて行ってくれることになってる
神楽坂だよ、って聞いて
「え、高いんじゃないの?」
って驚いたんだけど、そこは所謂料亭ではなくて、もっと気軽に和食を楽しめるお店らしい
雰囲気のいい石畳を歩いていくと小さなお店があり、外灯に「月の裏」とある
驚いたことに 白木のカウンターの向こうに居るのは 女性の板前さん
しょーくんが笑顔で挨拶してる
「今晩は」
「いらっしゃいませ、櫻井さん。カウンターで申し訳ありません」
「いえいえ、大丈夫です」
清楚で控えめな感じだけど 凛とした雰囲気の綺麗な人だ
「ここね、最初は会社の上司に連れて来てもらったんだけど すっかり気に入って、こっちの方に来た時は一人でも寄るようになっちゃった。いつか智くんと来たいなぁ、って思ってたから今日は念願が叶ったよ」
「へぇ・・・ありがと。いい雰囲気のお店だね」
