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影に抱かれて

第17章 影に抱かれて

口で愛すのは初めてだったが、その行為は数え切れないほどジュールからしてもらっていた。どんな風にするとジュールが悦んでくれるのかは分かっていた。

途端に漏れ出るジュールの吐息……
それを聞くだけでリュヌの心は痺れた。

「うっ……はあっ……リュヌ……」

こんなに愛しているのに……
なぜそれが許されないのだろう?

今この時は悦びでいっぱいの筈なのに、涙があふれ出てしまいそうだ。

そして、口の中でビクビクと跳ねる愛しいそれも、まるで涙を流しているかのように濡れていた。

美しい滴が伝い、リュヌの顔を濡らす。

「はあっ……何……ジュール? 」

「ああっ……ああ……何でもないよ……感じているのさ、君を……君の愛を」

リュヌの心は痛んだ。

ジュールを裏切ってしまおうかと……自分はこんなにも迷っているのに。

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