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キラキラ

第23章 🌟🌟🌟

「いつか…正式にあなたをお迎えしたい、と考えています」

「……」


……おい。
そこに、俺の意思は?


真剣な瞳のショウ王子に、内心突っ込みながら、黙って聞く。
そして、ショウ王子は、噛んで含めるように、ゆっくりと俺に言った。

「……なので。あなたに、例え好きな人がいても、その相手があなたにふさわしくないならば、僕は本気であなたを奪いにいきます」

「……」


ギクリとした。


相応しくない…?


瞬時に胸のうちを横切るのは、大事な男の笑顔。

兄弟のようにして育ち、今じゃ立場は違えど、お互いに想いあう男……。


まさかな……違うよな。


浮かんだ考えを打ち消すように、カラカラの唇をぎこちなく動かして、問いかけた。

「……どういう意味でしょう」

「そのままです」

ショウ王子は、にっこり微笑んだ。

「僕は。身分違いの恋を応援できるほどの偽善者ではありません」
 
「……っ……」


今度こそ心臓がとまった。



******




フラフラと広間に戻る。


ヤバい……ショウ王子にバレてる。
そんな分かりやすかったかな?俺は……。

きっぱりと否定はしてきたものの。
どこまで信じてもらえるのか。


とにかくミヤに会いたかった。
顔をみて、今の話をしたかった。

ところが、大勢の貴族たちでひしめく広間に、小柄なミヤを見つけることができない。

時折、見知らぬ貴族から声をかけられながら、愛想笑いを浮かべて、人混みを縫うようにしばらくさまよったが…………いない。


……トイレかな。


俺は、目立たない壁際にたち、レモンの香りのする水でカラカラの口を潤しながら、目の前を通り行く人波からミヤを探した。

そのうち、変にグラグラしていた頭が大分落ち着いてくる。

ふう……と、深呼吸。

落ち着こう。
人の気持ちなんか、言葉にしなきゃばれることなんてないんだから……。
そう考えたら、大分気持ちが楽になった。

こんな気持ちの経緯を、早くミヤに聞いてほしい。

なのに、いつまでたっても、ミヤの姿を見つけることができなかった。


……おかしいな。


俺がいない間に居心地が悪くなって、控えの間に行ったのか。


探しに行こうと、一歩踏み出して。


「姫」


艶やかな声に顔をあげたら、キラキラ王子こと、ジュンが立っていた。

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