キラキラ
第35章 屋烏之愛
出せるかよ……!
パニック状態な俺が、ひたすら身を固くして焦っていると、松本は、
「……ちょっとじっとしてろよ」
と、囁いたかと思うと、片手で俺をひょいと持ち上げた。
突然、床から爪先が浮いて、え?!と驚く。
俺は、松本に抱えられ、数歩移動した先の柔らかな場所に、そっと横たえられた。
それが、ソファーだと認識した頃には、松本は手早く、背もたれを倒しフラットな状態にしていた。
「ベッドにもなるんだ、これ」
いたずらっぽく微笑んで言いながら、松本は俺に覆い被さってくる。
展開の早さにドキドキしながら、俺は、松本の大きな瞳を見上げた。
その瞳の奥に、ゆらりと揺れる情欲の光が見えた気がした。
マジで……マジで?
これ、キスからのエッチの展開??
俺は、焦る頭で一生懸命考えた。
そりゃ、もちろん松本のことは好きだけど。
すごく好きだけど。
こういうことをする決心はまだ俺にはできてない。
だって……経験はないとはいえ、セックスの知識くらいはある。
この状況……どうみても俺は女の役割だ。
……てことは、されるんだ。
あれを?挿入すんの?
……どこに?
俺は、急に怖くなって、松本の腕をぎゅっと掴んだ。
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