キラキラ
第35章 屋烏之愛
え。松本何言い出すんだ??
この2人にどうみても友好的な話は成立しそうにない中で、松本が口を開いた意味がわからない。
俺が、固唾をのんで見守っていると、大野はその興味なさそうな目をあげ、黙って少しだけ松本を見た。
まるで、目線だけで、なんだ?と、言ってる感じだ。
松本は松本で、自分が話しかけたくせに怒ったような口調で、一言吐き捨てた。
「さっき、相葉が見かけたとよ。……那須を」
大野の目が、唐突に見開かれる。
「どこで」
「中庭」
大野は、慌てたように顔をあげグランドを見渡した。
その視線の先は三年生の応援席。
俺も一緒になってそちらをみると、なんともいえない顔をしてこちらを凝視している櫻井と菊池が見えた。
まるで、巨頭会談のようになっているこの場を心配しているかのように。
2人の姿を確認した大野は、少しだけ安堵したような吐息をつき、
「……わかった」
と、言った。
「こっちも、あとで探す」
ぼそりといった松本に、大野は、
「頼む」
と言った。
話が全くみえないが、そばにいる知念は分かっているようで固い顔をして口をつぐんでる。
ひとまず、この場では俺も何も聞かないでおいて、あとで、改めて松本に聞いて見ようと思った。
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