
キラキラ
第35章 屋烏之愛
「お。認めたな?」
しまった。
嬉しそうに笑った松本に、慌てて手を振り否定した。
「……や、違います」
「なんで?おれは、カズを恋人だと思ってるけど?」
「あの……」
松本に、俺のものだ、と豪語されてる立場だし、それをよしとしまってる自分がいる以上、認めざるをえないのかもしれないけど。
でも、恋人って、お互い好きだから成立するんでしょ?
俺……まだ、松本に気持ちを言ってないし。
うじうじしながら、缶ジュースをちびりと飲む。
すると、横でカレーパンをかじってる上田の視線を感じ、目をやった。
対、ケンカ相手には、震え上がるような冷たい瞳になるが、普段はやんちゃな笑顔をもみせるこの男は不思議な安心感があった。
初対面こそ最悪だったけど、ヤンキーだらけのこのグループにいる俺に、いろいろと声をかけてくれる。
それもボソリと。
「……好きなんだろ。潤のこと」
「…………っ」
言うかよ。
俺は、黙って口を引き結んだ。
「耳赤いぞ」
「知りません」
上田と松本が目をあわせて笑ったのが分かったけど、俺は、今言うことじゃない、と、頑なに首を縦にふらなかった。
