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修練の鏡と精霊の大地

第17章 村

「まず、ここに純化さんが来たのは、あなた方と同じように鏡を通ってきたそうですね」


 球也がそれに答える。


「そう、なんか、変なじいさんにもろた鏡で……てか、ここんとこ、よくじいさんと絡むわ……奈美ちゃんのおじいさんといいヌカーといい……」


「これも推測にすぎませんが、純化さんは妖精と人間との混合種であり、その体で人間の世界にお住まいでした。したがって、急に来たこの世界に体がもたなかったのではないでしょうか? なので、ワラワラの粒子に敏感に反応し、症状が強く現れた。基本、人間の方が体が強くできております。球也さんでも、ここにきて最初は体に、違和感あったんじゃないですか?」


「んんん〜、そう言われたら、ちょっとしっくり来なかったかなぁ?」


 正直、よくわかっていなかった。


「人間の世界とは違って、次元の歪みがございます。それに、ここにはいろんな魔力もかかっております。だから、多少は負荷がかかってたと思いますよ。今回、この病に関して診てましたら、純化さんだけ、異常に症状の進行が早かったんです。おそらく、この世界に、妖精の細胞が活発に反応したのだと思われます。人間だと、この病にはかからない。いや、はねかえすんです。だから、進行が早い妖精の細胞のみが病に死滅して、崩れ落ち、今の純化さんになった。私はそう考えます」


 話に飽きたのか、球也は眠り、奈美は外で様子をうかがい、純化は果実の精霊が出した果物をむさぼり食う。 


 ペタロはその光景にきょとん顔だった。



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