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修練の鏡と精霊の大地

第17章 村

「な……なんじゃと!?」


 純化の突然の変貌に、ヌカーは腰を抜かした。


「えっ!? 純化さん……戻ったんすか?」と球也が恐る恐る聞いた。


「なんか、わからへんけど、急に体調ようなったんや。心配かけたね、きゅう坊」


「純化さん……」 


 球也は嬉しさのあまり、目に涙を浮かべた。


 この世界に来て、一人でどうしていいかわからないとき、最初に出会ったのが純化だ。


 球也にとっては姉のような存在だ。


<なんや、こいつ結局は、ただのジジィやんけ>


 ソーヤが長いツルを出して、ヌカーをグルグルに縛る。


 見ると、他の村人も全員括られていた。


<早い強い的確の三拍子がうちや。結構、活躍したで〜>


 そう言ったが、疲れも出てきたのか、石に戻ってしまった。


「ソーヤ、僕らが水汲みに行った時、むっちゃ頑張ってたんやで」


 球也は、誇らしげにソーヤのことを話した。


 すると、横たわっていたペタロが、半身を起こしてた。


「球也さん……せっかく取ってきてもらった水を、半分捨ててしまった。申し訳ない……」


「いえ、そのおかげで、いろんなことがわかりましたよ。すごい経験です」


「すまないが、私をあの家まで連れて行ってもらえないか? 薬を作らないと……」


「あ、わかりました」



 球也はペタロに肩を貸してゆっくりと立たせた。


 ふと、振り向いて、ヌカーの哀れな姿を目にしてポツリと言った。


「結局、あの缶コーヒーの剣はなんやってん……」



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