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修練の鏡と精霊の大地

第17章 村

 ニコーは右拳を、ポキポキと鳴らしながら近付いてきた。


 だが、急に「うっ!!」と声を出して、うずくまった。


 なにがあったのかと、近寄ってみる。


「うくく……指が……折れた……」


 ポキポキと音を鳴らすだけのつもりが、力を入れすぎたのか、指の骨を折ってしまったようだ。


「今のポキポキ音は、折れた音!? よし、今や! ソーヤ、さっきの葉っぱちょうだい」と球也が手を出した。


<あのMAXタイプは、自由には出えへんのよ。わりと力がいるんやで>


「アカンやん……」


 ガッカリしながら、ニコーをチラ見した。


 ここぞとばかり、ユングが蹴りを入れている。


「オラオラオラ!! 小さいからってバカにしやがって!! 卑怯は専売特許だ!! 覚悟しろ!」


 ユングは、ニコーの折れた指目掛けて、攻撃を続ける。


 だが、先ほど、パワーアップした三人の攻撃で倒れていた村人達が、少しずつ起き出してきた。


「奈美ちゃん、今度は冗談抜きでヤバいなぁ……」


「精霊の力、もつかなぁ……」


 奈美は精霊石の入った袋を握る。


「精霊はイザというときに、置いとかなアカン。絶対、デカイのがいてると思う。その時、必要やから……ね、おじいさん」


 球也は後ろを向いた。


 淀屋橋がいない。


「あれ!? 奈美ちゃんのおじいさんは?」


「そう言えば、さっきから見当たらない」


「なにそれ、ますますアカンやん……」



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