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第19章 恋の切なさ

「あっ♪たこ焼きと飲み物買って来るね。」

何とも言えないもやもやとしたこの気分をあたしは変えたかった。

…真啓と会えなくなる。考えたく無いのは、何故だろう?

春さんの言葉を思い出していた。今まで傍にいたのに、居なくなってから気が付く。
真啓と熱々のたこ焼きを頬張りながら考えて居た。

「どうしたの?突然元気が無くなっちゃった。何かあった?」

真啓があたしの顔を覗き込んだ。

…あたし…泣きそうだ。

「ううん。何でもない…ちょっと熱すぎて涙が出そうなの。」

自分で言ってて変だって判ってる。誤魔化しになって無いかもしれない。

「華には…僕のこと忘れて欲しく無いな…。」

真啓がぽつりと呟いた。

「忘れない…忘れられるわけが無いよ。」

…真啓…行っちゃ嫌だ。

だけどそんなことは言えないし、言っちゃいけない。そしてあたしは気が付いた。あたしは友達としてでは無く、真啓のことが好きなのかも…知れない。でも真啓には好きな人が居る…困らせちゃいけない。あたしが好きだって言ってしまったら、優しい真啓を困らせてしまう気がした。

…恋と失恋。あたしは同時に経験するんだ。

胸が詰まりそうで、思わず自分の胸に手を当てた。

…胸がヒリヒリと痛い。

「大丈夫?」

「う…ん。急いで食べ過ぎて火傷しちゃった。」

あたしは舌をちょっと出して笑った。

―――ヒューッ…ドーン…パラパラパラ。

花火大会も最後のクライマックスを迎えた。空で重なる花火が、あたし達の顔を昼間のように明るく照らした。

「ねぇ真啓。」

「ん…なに?」

深呼吸をひとつ。

「あたし…好きな人出来たかも。」

真啓があたしの顔をじっと見ているのが判ったけれど、顔を見ちゃったら、涙が出そうだったので気が付かない振りをした。

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