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第11章 遅れてきた反抗期

入院も飽きた。あれ以来パパもママも余り来ない。来ても最低限のことだけ話して帰っていく。

…その方が、楽。

言ってはいけないと判っていたけど、あたしの気持ちも判ってほしかった。良い子にしているつもりは無いけれど、他の家の様な酷い親子喧嘩もしたことが無かったし、何故そんなに喧嘩をすることがあるのかと思ってたけど、今ならそれが少し判る…気がする。

――― コンコン。

華さん?入るよ?病室の扉をノックする音が聞こえた。

…ダディだ。

「うん。」

パパやママよりもダディが良く来てくれるようになった。ダディは、パパにあんな酷いことを言ったのに、それについては一切触れなかった。あたしは物凄く怒られると思っていたけど、ダディはいつものダディで優しかった。

「今日の僕のお姫様の具合はどうだい?」

ダディは、あたしにハグをしながら頭にキスをする。ダディはいつも甘いフローラルの香りがする。

「元気。もう病院に居るの飽きちゃった。」

リツが貸してくれた本も全部読んでしまったし、真啓が持って来てくれたCDも聞き飽きた。

「華さんにお客さんだよ。」

ダディが優しく微笑んだ。

…誰だろう。

「あっ!!」

ダディがどうぞというとその人物は病室に入って来た。見覚えのあるストロベリー・ブラウンの髪、サングラスに、大きなマスクをしていた。あたしは見た瞬間に思わず声をあげてしまった。

「君の命の恩人だよ。」

病室のドアをくぐる様に入って来たのはユウヤだった。

「やぁ…。」

サングラスを少し上げると、グレーの大きな目に、ステージの時に見るのと同じ化粧をしていた。

「レコーディングの途中で抜け出してきたんだ。」

あたしは思わず駆けだして、ユウヤに抱き付いた…百歩譲ってハグだ。ダディはにこにこしながら僕はコーヒーでも飲んでくるからどうぞごゆっくりと行って出て行った。

「わっ…。」

ユウヤは思わず声をあげた。

「本当に、本当に助けてくれてありがとう。」

あたしは泣いていた。命の恩人が大好きなユウヤだったからだ。

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