
LIFE
第17章 見つめていたい〜新しいキャンパス〜
「久しぶり。」
「お邪魔しま…す…。」
大野さんがいるかなと覗いた美術室。
「どうした?浮かない顔して。」
ひとしきり大野さんの描いてる絵を見てから、机の上に無造作に散らばってる絵の具や筆を触る。
絵を描きながら大野さんは声を投げるから、
「色々うまくいかないな…って。」
そう素直に言葉に出してみた。
まるで弱音だ。
ほんと。
うまくいなかいことばっか。
無意識に吐き出す息が、はぁ…、ってため息になる。
「思春期だしね、大いに悩め。」
「大野さんは思春期じゃないの?」
「思春期って言えば思春期か?」
手を動かすのをやめた大野さんがキャンパスの脇から目を出して、僕の顔を見た。
「俺はもう大人になったのかも。
にのはまだ大人になる途中なんだろうね。」
