
大切な人へ
第17章 雨の終業式
「ほら...また冷たくなってる」
お腹あたりを抱きしめられたまま
ドライヤーをかけるけどタオルが落ちそうだよ...
髪が乾いてドライヤーを消した瞬間...
『やぁっ!!』
バスタオルがぐるっと剥がされてしまい
恥ずかしさでうずくまる
先生は私を抱きしめて2人に毛布をかけ横になった
「冷たい...寒かったでしょ?
こんな雨降ってるのに」
そう言った彼の声が少し寂しそうだった...
抱きしめてくれてる腕は動かず触る感じじゃない
「美優...」 なに?小さな声...
「どうしてうそつくの?」 ...え?
「転んだだけで制服ダメになるくらい濡れる?
それをどうして井川がクリーニングに出すんだよ
井川の家で着替えて服までかりて
あの時間まで...何してたの?」
言葉が足りなすぎた自分の伝えたことは
確かに変な話だ...
『髪も濡れちゃってドライヤーかりたの
寒いだろうからってコーヒーご馳走になった』
「......転んだだけで髪まで全身濡れた?
擦り傷みたいなケガもないくらいなのに」
...だから服着せずにバスタオルもとったの?
やっぱり私は嘘とか隠し事がへたみたいだ
井川くんには悪いけど全部話そう。今日のこと
寂しそうな彼を抱きしめて
『ごめんね?本当のこと全部話すから...
嘘つかないからそんな顔しないで?』
