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異彩ノ雫

第279章  三ノ月 Ⅲ




雨音が満ちた部屋のベッドで
過ぎた月日を映して静かな
銀色の髪
微睡みから覚めたその人は
そっと呟く
まるで独り言のように


聞き返すかわりに
開けるカーテンの向こうには
ブルーグレーに濡れた空


私の肩越しに投げる眼差しは
恋の形見を探すように
今日も潤み 揺れている







【銀糸】


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