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異彩ノ雫

第273章  一ノ月 Ⅲ ⑤




降りしきる氷雨に傘が唄う

凍てつく指でリズムを刻めば
古い酒場で聴いた
ブルースがよみがえる


やるせなさに塞がれた胸とバーボン
身じろぎもできず
ただ 嗄れ声にいだかれた

あの時 もしも…


雪まじりの雨の中
短いクラクションとヘッドライトが
立ち止まる感傷を追い越してゆく







【氷雨】


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