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異世界での出来事

第3章 村人A

「おまえ、村の大事な水を盗んだな!」

「えっ、俺が?」身に覚えのない事を言う。

「俺は盗んでなんかいません。」

「嘘つくな!村の大事な水を、畑なんかに撒きおって。」

「畑なんかとはなんだ!」村長さんが、俺を庇ってくれた。

「俺たちが魔物と必死になって戦って帰ってみたら、水を飲もうにも、水がないではないか!貴重な水を畑に撒きおって。作物作る前に、村人が干からびるぞ!」

龍之介の首根っこを掴み、吊し上げる青年リーダー。

もがき苦しむ事しか出来ない龍之介。

「ハヤト、止めないか!」

村長や、老人達が止めに入るが、力自慢のハヤト。

龍之介を投げ飛ばした。

「止めてやったよ。」

「お、俺は自分の土地から出たことはない。」

それを言うのが精一杯の龍之介だった。

「家もない、金もない、食うものもない。それで生活出来るのか!」

リーダーが笑いながら、龍之介に忠告をする。

「明日から、畑作業は中止だ!解ったか!」

龍之介の腹を蹴りあげて、脅しをかけるリーダー。

それを村の青年達が笑いながら見ている。

男5人、女3人。いずれも冒険者であろう姿をしていた。

「ワシが、龍之介に説明していなかったから、もうゆるしてやってくれ!」

「そうじゃ!」

「そうだよ、ゆるしてやりーな。」

「そんな大事な事を、はなしてなかったのか!間の抜けたじじぃだな!」

村長を村長とも思っていないリーダーのハヤト。

中年層は静観している。自分達の子どもが暴れているのに、止めようとしない。

それも、そのはず。

親は、子どもが魔物を倒して、お金や肉に野菜を買ってくるのを頼りにしているのだから。

稼ぎ頭が青年達である。

中年層は、籠や桶を作っているが、なかなか売れない。

やることないから、子作りに励んでいるため、子どもは、それなりに多い。

青年のいる家庭はそれなりに裕福そうだ。

青年のいない、子どもを抱えた家庭は、生活が苦しいみたい。

老人だけの世帯も生活苦しい。

肌の艶が全然違う。動物性たんぱく質や、脂肪がとれていないから。

「それと、冒険者でないのなら、山に入るのも危険だぞ!」

(山が危険だったとは。)

何回も入っているのに、可笑しな事を言うな?

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