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なぜ?

第12章 秘密2

キレイで悲しいメロディに、名津子の切な気な声が重なる。
いつもよりちょっと声が固い感じがするが、緊張してんのかな?

「ジュノ、歌えそうか?」
「えっ?ああ、ごめん。ぼーっとしてた。……うん。当たり前だよ。俺を誰だと思ってんの?」

「じゃあ、私はもう寝るね。あんまり根つめないでね。」
「おやすみ。」
名津子は立ち上がって、足早にリビングから出ていった。


名津子が完全に出て行ったのを確認してミンヒョンが口を開いた。
「ジュノ。俺が初めて名津子がこの曲を歌うのを聞いたとき、名津子、泣いてた。」
「え?何で?」
「わからない。見なかったことにした。」
「これって、どんな歌詞なの?」
「幸せな女の子を羨んだ曲だ。あなたが幸せななのは当然だと言いながら、ちょっと妬んだような気持ちがあって……」
「何かあったのかな…」

俺は、この美しい曲が名津子の心を抉る曲だとは思いもしなかった。

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