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果てない空の向こう側【ARS】

第9章 ベトナムの空の下へ(翔)

家に着くと、潤は台所からグラスを取り出し俺の部屋に入って行った。

翔「なんで俺の部屋なんだよ。リビングでいいじゃん。」

潤「やだよ、智兄に邪魔されたくないからね。」

そう言いながら、潤はローテーブルの上に酒とツマミを並べた。

グラスにロックアイスを放り込んで、焼酎とミネラルウォーターを注ぐ。

潤「はい、翔兄。」

潤は、手際よく焼酎の水割りを作ってくれた。

翔「サ、サンキュ。」

潤は、器用にソムリエナイフでコルクを開け、自分でワインをグラスに注いだ。

潤「乾杯。」

カチンとグラスを当て、ひとくち目を飲み干す。

潤「翔兄さ、ベトナムで何すんのさ。」

翔「んー、主に、ベトナム食材の輸入かな。」

潤「俺、パクチー嫌い。」

翔「お前の好みなんて聞いてねーし。」

潤「翔兄だって嫌いじゃん、パクチー。」

翔「そうだけど。」

それきり、しばらく黙って飲んだ。

俺のグラスが空になったのを見て、潤が手を出したので、空のグラスを渡した。

潤は、二杯目の水割りを作って渡してくれた。

潤「翔兄がいないと、不安だよ。」

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