テキストサイズ

神様の願い事

第2章 秘密

《sideS》


なんなのあそこ。

ダブルデートか。


智くんが持った唐揚げを松潤が口で奪い、相葉くんが持った唐揚げをニノがかぶりついた。


俺が居ること忘れてない?


翔「はああ...」


思わず大きな溜息が漏れる。
するとペタペタと足音が聞こえた。

この足音、智くんだ。


智「はい。翔くんも」

翔「え...」

和「あっ、何処にあったのそれ」

智「ふふ、隠しといた」

和「...んだよ、俺なんて相葉さんの食べ掛けだったのに~」

雅「ニノ...」


プリプリした唐揚げで一悶着起こす。
何故か相葉くんは肩を落としているけど、俺の鼻に漂う唐揚げは美味そうな香りがしてる。


智「ほら、冷めちゃうよ?」


ニコッと笑いながら言う智くんは、俺に向かって唐揚げを差し出す。
ピックを刺して、俺の口の前に持ってくる。


翔「ぱく」

智「どう?」

翔「もぐもぐもぐ」


うっかりそのまま口に入れてしまった。
皆やってたし、俺も疑う事なくそのままかぶりついたんだ。


翔「もぐもぐもぐもぐ」


だけどよく考えてみれば、あ~んとかおかしい。
普通ならそれを手に取り、ありがとうと言い、そして自分の手で食べるのが妥当だった。


智「え、喉でも詰まった?」


それに気付いた俺は恥ずかしくなって、ずっともぐもぐしてた。


智「はい、お茶」

翔「ごくごく」


またやらかした。
目の前に差し出された紙コップ。
それを自分の手を使う事なく飲んだ。


潤「どしたの翔さん」

和「なんか今日」

雅「赤ちゃんみたいだね」

翔「ぶほっ」


まるで赤ちゃん。その通りだよく観察したな。


智「あ~ほら、大丈夫?」


松潤がぽいっと投げたタオルをキャッチし、俺の口を拭いてくれる。
もう片手は俺の背中をぽんぽんと叩いてた。


翔「だっ、大丈夫」

智「そう?」


ありがとうとタオルを受け取り、自分で口を拭った。


少し離れた所では3人の楽しそうな笑い声が聞こえる。


俺の前では、少し眉を下げて心配そうな顔をした智くんが俺の目に映ってた。






ストーリーメニュー

TOPTOPへ