
神様の願い事
第4章 誤解
甘えたいと言っていたな。
俺を抱き締め、身体に触れ熱い唇で首元に吸い付いた。
俺の鎖骨に遺されたのはその時の跡。
男の、神様が変身しただけの俺にまでそんな事を。
それ程までに寂しかったという事だろうか。
雅「翔ちゃん? 顔、真っ赤だよ?」
翔「えっ」
寂しい? やっぱり好きな人の事か?
雅「熱でもあるんじゃないの?」
翔「いっ、いやいや大丈夫っ」
見てるだけじゃ特にそんな感じはしないけど。
翔「あっ」
思わず翔くんをチラチラと見ていた。
そんな俺と目が合って、翔くんは更に顔を赤くした。
潤「ほんとだ。真っ赤」
松潤が翔くんの顔を覗き、ニノはその額に手を添える。
和「うん。熱は無いみたい」
みんな優しいし。
翔「ねっ、大丈夫でしょ?」
雅「ならいいけど」
相変わらず翔くんの事は好きだし。
潤「じゃあどうしてそんな赤い...?」
ならやはり“甘えたい”と言うのはその人になのか。
智「...翔くん」
俺が声を掛けると、翔くんはビクッとしたように振り向いた。
智「ボタン、掛け違えてる」
翔「えっ、あ、ああ」
智「や、そこじゃなくて」
俺が近付くと、ほんの少しだけ後退って。
智「ここ...」
その強ばった胸元に手を伸ばすと、翔くんの手に触れた。
翔「っ」
ほんの少しだけど、触れて。
すると翔くんは息を呑んだ。
翔「あ、ありがと...」
なんだかビクビクしているし、また顔を逸らしたのかと思いきや。
智「ん...? どうかした...?」
赤い顔はそのままに、翔くんの胸元に手を伸ばす俺を見ていた。
翔「いや...」
神様だと思って安心して甘えたんだろう。
だけどその風貌が俺だったもんだから。
だから翔くんもなんだか恥ずかしい気分になっただけだ。
智「直ったよ」
俺だって恥ずかしいんだから。
何も無かったように、翔くんがどんな気持ちで俺を見てるのか全く知らないように振る舞うなんて。
翔「うん、ありがと」
なんて難しいんだ。
だけど翔くんは俺がこんな事を思ってるなんて知らないし。
どんなに悩んだ所で結局は“あの人”なんだ。
翔くんをおかしくしてるのは俺じゃない。
全ては翔くんの想う、“あの人”のせいなんだ。
