今日も明日も
第71章 アナタは誰のもの?
「ほぇ~」
普段、だらけた服か “衣装“ しか見た事ない奴が
極フツーの、所謂 “リクルートスーツ“ ってのを着るだけでこうも変わるものなんだろうか
「なに?変な声出しちゃって」
鏡の前でネクタイを締めてる相葉さんが、訝しげに鏡越しの俺に視線を合わせた
「んー、やっぱ変わるんだなって」
「何が?」
キュッとネクタイを締め、両手で位置を修正しながら少しだけ首を傾げた
「スーツ。衣装のカチッとしたのとまた雰囲気違うんだなって」
面と向かって “カッコいい“ なんてのは言わないけど
正直凝視するのはちょっと恥ずかしかったりする
「…カッコいい?」
「自惚れんな」
ふ、と笑った相葉さんが振り返り、座っている俺の目の前に立った
「そう?じゃあ何で顔赤いの」
ひんやりした手のひらが頬に触れて、その心地好さに思わず目を細める
「暑いんだよ」
「確かにほっぺは熱いね」
くすくす笑う相葉さんの顔は、完全に俺を揶揄っていた
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