今日も明日も
第68章 見えない鎖 Ⅶ
夕食を作ってる間、かずくんはリビングで子猫を下に降ろして俺の方をじっと見つめていた
何回かの失敗を重ね、ようやくご飯はちゃんと炊けるようになったかずくん
今日も、当然のように炊飯器のスイッチは押されていて
俺が “ありがとう“ って言うと恥ずかしそうに頬を染める
毎日繰り返してるのに、いちいち赤くなるかずくんは本当に可愛い
そして “これしか出来ないから…“ と少し俯くのも日課みたいになっている
多分、誰でもこんな繰り返しはうんざりすると思う
だけど、全てが一生懸命なかずくんには
何故かそう言う気持ちにはならないから不思議だ
「はい。運んでくれる?」
出来上がった生姜焼きを、ちぎったレタスの上に乗せた皿をかずくんに渡す
「はい」
かずくんが両手で受け取って、それをほんの少しの距離なのに恐る恐る運んだ
匂いにつられたのか、ミャア、と子猫も起きてくる
「かずくん、こっちはいいからエサあげてくれる?」
「はい」
ああ、そう言えば名前は決まったんだろうか
後で聞いてみよう、と思いながら
俺は残りのお皿や茶碗を次々に運んで行った
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