今日も明日も
第65章 見えない鎖 part Ⅵ
夕飯は、小さなラーメン屋に入った
小さな店で、人目もそんなにない場所はかずくんにとってもちょうど良くて
それでも一番奥の目立たないカウンターにかずくんを座らせ、俺が真ん中に座る事にした
「かずくん、1人前は…食べられそう?」
普段の食事からして難しそう
案の定かずくんが首を横に振る
「いいよ、残したら俺が食べる」
「でも…」
「腹減ってるから平気。気にしないで」
「…はい」
そんなやり取りを、先輩はじっと見つめ
やっぱりかずくんを気にする様子を見せている
「…見た事あるんだよなぁ」
うーん、と首を傾げてかずくんを見る先輩に
「何がですか」
さりげなくかずくんを視界から遮るように身を前に出した
かずくんは、見られている事に気付いていて
少しだけ怯えている
だから余計に、俺にしがみつく手を離せないでいたんだ
「ああ、いや彼がね」
「かずくんですか」
「うん、何かどこかで見た気がするんだよ」
思いがけない先輩の言葉
てっきり、かずくんをヤバい目で見てるのかと勘違いしてた俺は急に申し訳なくなった
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