今日も明日も
第58章 見えない鎖 part Ⅱ
どれくらい握ってたのか、寝不足もあっていつの間にかすっかり眠ってしまっていた
気付いた時にはかずくんは、手を握ったまま俺をじっと見つめていて
いつから起きてたのか、いつから俺の寝顔なんてのを見てたのか…考えると何となく気恥ずかしくて
手を離そうとして、すぐに思いとどまった
…そう言えば、さっき離した時泣いたんだよな
だったらまた同じ理由で泣かせる事は、しちゃいけないだろ
「かずくん…体、どう?」
顔だけ上げて、怖がらせないように笑い掛ける
「からだ…?」
相変わらずの不思議顔
4日間傍にいて気付いた事
どうやら1回では、かずくんには伝わりにくいみたいだ
「うん、頭痛いとかない?」
だから分かりやすく言い直せば
「頭、いたく…ないです」
ほら、ちゃんと答えられる
「そっか」
だけどまだ、手は熱い
空いた手でおでこに触れてみても、やっぱり熱は下がってないようだ
「かずくん、体温計を取るだけだから…1回手を離していい?」
「離す…?」
「体温計取る瞬間だけ」
かずくんは不安そうながらも、コクリと小さく頷いた
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える