今日も明日も
第54章 Perfect Life
さすが人気スポットなだけあって
確かにライトアップされた桜は綺麗だけど
あちこちから聞こえる酔っぱらいの騒ぎ声とあまりの人の多さに、幻想的なんてものは皆無に等しかった
「ごめん…こんな筈じゃなかったんだけど」
かずを喜ばせるつもりが、むしろうんざりした顔をさせてしまっている
「相葉さんのせいじゃないから気にしないで」
そうは言ってくれても、人混みが得意じゃないかずが無理してるのは百も承知
それなのに
「せっかく来たんだから見ようよ」
なんて笑ってくれちゃって
なんか、俺凄く情けない…
「ほら」
俺の腕を引っ張って、かずが歩き出す
駅からここまで来るのを渋ってたくせに、そうやって気遣ってくれるのがかずの凄いところ
だけどこれ以上かずに気を遣ってなんて欲しくない
「上だけ見て歩こうか」
かずは桜だけ楽しんで
俺が危なくないように周りをちゃんと見るから
だから
「そのまま掴まっててね」
俺の腕を掴むかずにそう伝えたら
「うん」
少しだけ、照れたようにかずが頷いた
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