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今は15時50分

相葉くんが来ても来なくても、ここでピアノを弾くのは1日の自分をリセットする時間でもあった

なかなか人と上手くコミュニケーションが取れない自分の、唯一の落ち着ける場所

だけど今は、早く相葉くんに来て欲しいと思ってる自分がいる

相葉くんの顔を見るだけで
その声を聞くだけで

ドキドキして仕方ないのに、もっと傍にいたいと感じるのは

やっぱり、“恋“ ってやつなのかもしれない

こんな甘酸っぱい感情は初めてで、ふわふわした気持ちのまま、鍵盤の方に体を向けた


この気持ちが音に乗ったらどんな感じになるのかな

指を鍵盤に乗せて

ひとつ、小さく息を吐いてから
ゆっくりと鍵盤の上の指を滑らせ始めた



中盤まで差し掛かった時、ドアがそっと開いて相葉くんが入ってくるのが分かった

いつもはすぐにピアノの傍に来るのに、今日は何故か来ない

なんで？
どうして来てくれないの？


甘酸っぱさを乗せた旋律が、途端に悲しげなタッチに変わった