今日も明日も
第52章 Bitter Sweet
《バカ》
たった一言
差出人なんてこいつしかいない
すぐ隣の部屋で、ふてくされてる彼
寂しがりのくせに強がりばかりで、意地っ張りのあいつ
本当はすぐにでも隣に行きたい
だけどそこを敢えて我慢して “大人の余裕“ を見せつけてやる
そして、もっと俺を求めればいい
俺を欲しがって、束縛すればいい
10歳近い歳の差は、永遠に埋まらないんだから
君は君のやり方で俺を縛り付けて欲しい
帰宅してから、ゆうに1時間は経ったところで
漸く寝室のドアを開ける
案の定、ベッドの端に蓑虫みたいにタオルケットに包まれて丸くなってる彼が視界に映った
思わず笑いそうになるのを堪えて、無言でその隣に体を滑り込ませれば
無意識にピクン、と彼の肩が小さく跳ねた
メールの次は寝たフリ
本当分かりやすい
背中越しに「かーず」と優しく囁くけど、何の反応も見せない
いや、分からないようにきゅっと唇を噛み締めたのは分かっている
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