今日も明日も
第49章 春が近いから
だけどお風呂ににのを促して
俺もその後に入ってから、…部屋の空気が変わっている事に気が付いた
やっぱりにのも意識してる
だってさっきまでごろごろしてたのが
ソファーの端っこに小さくなって座ってて
やたら神経を研ぎ澄ましてるのが、端から見ても分かるんだよ
「にの」
後ろから、ただ名前を呼んだだけなのに
あからさまにびくんと肩を揺らすとか
…俺までドキドキしちゃうじゃん
だけど
今日は一歩進むって決めたんだ
空いているソファーの隣に腰を降ろすと、今度は所在なさげに視線が泳ぎ出す
「…どうしたの?」
分かっていながら訊ねるのは、意地悪かもしれない
でも、俺も何て言って良いのか分かんないのも隠しようのない事実で
…俺だって緊張してるんだよ
ようやく好きな人に触れられると思うだけで
心臓が飛び出しそうなくらいに高鳴ってるんだ
「べつに…」
俺と目を合わさないまま、下を向いてしまう
だけど見えてる耳が真っ赤になってて
それを目にした瞬間、俺の中のスイッチは押されてしまった
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