今日も明日も
第44章 恋空模様
名前を知ってから、俺は常に二宮くんを気にするようになった
クラスにいると、二宮くんは本当におとなしくて
いつも1人で本を読んでいるか、頬杖をついてどこかを見つめている
彼に話し掛けるクラスメイトは誰もいなくて
…それこそ空気のような扱い
そして俺も、あの弾いて貰った日から特に話し掛ける事も何となく出来ないままで
そのくせ二宮くんの事は気になって仕方なくて
…自分でも何がしたいのか、分からなくなっていた
いや、話し掛けてはみたんだ。翌日に
ただ「おはよ!」って一言
たったそれだけなのに、二宮くんはビクッと体を震わせて
やっぱり怯えたように小さく「…おはよう」って返しただけで
その顔を見たら、話し掛けるのがいけないような気がしたんだ
だけど放課後になれば
いつの間にか教室から消えた二宮くんは、変わらずにピアノを弾いている
本当はまた近くで聞きたい
教室では決して見せない、あの優しい顔が見たい
「相葉、あれから音楽室行ってねぇの?」
ふいに後ろから声を掛けられて振り向けば
「櫻井センセ…」
担任が腕を組んでそこに立っていた
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