今日も明日も
第44章 恋空模様
「気になるなら、覗いて見れば?」
ようやく手伝いが終わって、帰ろうとした時
担任に言われた一言がやけに耳に残っていて
あの曲の名前もちょっと知りたいけど
ー…もしかして可愛い子が弾いてるとか?
なんて、曲以上に弾いてる人物に興味を持った俺は
担任の思惑通りその足で音楽室に向かう事にした
廊下の1番奥にある、音楽室
だけど開けて中に入るのは何だかしのびなくて
ドアと壁の向こうから聞こえる曲に、耳を傾けた
いつも遠くから聞いてる曲が、こんなに近くで聞こえるのが不思議な感覚
じっくりと改めて聞いてみれば
それはピアノを知らない俺でも心地好く感じる優しい曲で
ピアノってこんなに優しい音なんだ…なんて柄にもなく感動しちゃって
…誰が弾いてるのか知りたい
バレないようにそっと覗いて見ようか
足音を忍ばせてドアに手を掛ける
予定では、それは静かに横に滑るはずだったのに
…予想以上に硬いドアに、思わず力を入れてしまい
ガタン!とドアが大きな音を立ててしまった
途端に止まるピアノの音色
ー…やっちゃったよ
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