今日も明日も
第25章 にちじょう 3rd
落ち込んでる俺を、ちょいちょいと人指し指で招く
「なに?」
近付いたら、いきなり後頭部をガシッと抑えられた
そのまま唇が塞がれて
少しぬるくなったビールが、俺の咥内に届けられる
全て飲み込んだつもりだったけど
収まりきらなかった液体が、口の端から顎に伝っていくから
唇が離れた後に、指でそれを拭い取った
「おすそわけ」
おどけたように言うにのが可愛くて
「お返し、しなくちゃね」
俺はニンマリと笑うと、にのの唇を自分のそれで塞いだ
ビールはないから、代わりに唾液を送り込む
飲み込むまで、唇は離してあげない
舌を絡ませて、交わらせてあげる
「ん…っ」
にのの、喉が動いた
それを確認して、ゆっくりと唇を離したら
「ばか…っ」
真っ赤になったにのが、涙目で俺を睨み付けた
嫌がってなんかないくせに
キスされても、逃げないくせに
本当、可愛くて仕方ないんだから
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える