今日も明日も
第24章 Still…~誰も知らない~【コラボ企画】
イヤホンから流れる、心地好いピアノ曲
最小限に絞った音量の向こうから聞こえてくる、聞きなれたリズムを刻む靴音
時折「キュッ」と音が乱れるのは
大抵つまづきかけた時
思わず口角が上がる
だって、その音が向かう先は…
「にの、やっぱここにいた」
俺がイヤホンをしてるからか
ポン、と肩を叩いてきた
「え?」
聞こえていたけど、イヤホンを外して
わざと分からなかったフリをする
「楽屋にいないから、ここかなと思ったら…当たったね」
相葉さんは、そう言いながら
立て掛けてあるパイプ椅子を持ってきて
俺の隣に同じようにそれを広げて座った
「何聞いてたの?」
とりあえず聞きます、みたいな
大して興味はなさそうな質問に
「ん、相葉さんのソロ」
…ニヤリとして答えたら
「嘘つけ」
って、呆れたように笑った
俺たちの後ろにある、大きな板の反対側は
「アイドル」としての自分が立つ場所
今いる薄暗いここは
「自分を演じる」前の、素でいられる
最後の場所
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